ROOTS OF GEMS 2 社長の物語

指輪の神様(神業師)との出会い

 

 

佐々木の師匠である、(有)鈴福錺工社の社長、鈴木福太郎氏は既に他界していますが、

昭和30年頃から伝説の人でした。

 

佐々木の師匠には、こんなエピソードがあります。

 

昭和48年に第一回宝飾1級技能士の資格試験があり、

師匠は受けに行くことにしました。制作試験課題は、

ティファニー爪の枠(指輪)をプラチナで作ること。

 

それを超人的なスピード(40分)で完璧なものを作ってしまったために時間が余り、

手持ち無沙汰にしていたところ、

試験官から「鈴木さん帰っていいですよ」と云われ半日で帰ってきました。

一級技能士NO.1が師匠です

 

帰ってきて私達、弟子に言った言葉は

「お前達はこの資格は取らなくて良い。あまりにもレベルが低すぎる。」

と云われたために、先輩を含め誰一人この資格は取っていません。

 

資格は技術の裏付けにあらず、訓練すれば受かります。

資格を取得するには、「課題」が出されます。

その「課題」における練習を繰り返し、努力を積んだならば、

いつかはその資格も取ることができるでしょう。

 

つまり、資格を取得しているからといって

応用力や、品質を追求する精神がなければ、どんどん技術も衰えますから、

良質なジュエリーを必ずしも製作できる証明になるわけではない。ということになります。

大切なのは、「現在も高いクオリティーのジュエリーを継続して作り続けているか。」

ということです。

資格だけに惑わされるのではなく、実際の商品をみて、他とよく比較することが大切です。

 

ある時、佐々木は師匠に尋ねました。

師匠の技術は完璧で、スピードが桁外れに優れているのは、

どんな気持ちでこの仕事に取り組んできた結果なのですか?

 

「音楽の世界には、ピアニスト、バイオリ二ストなど

神業的な天才演奏者が居るだろう。芸術の世界にも天才は居る。

この仕事でも形は違へ、それに匹敵する天才的な技術者が

居てもおかしくないだろう。それを目指してきたのだよ。」

 

佐々木は、その答えに感動しました。

そして、この師匠の全てを身に付ければ自分の人生が開ける。

又、この業界で生きていけると、自分の進む道が間違っていないことを自覚した瞬間でした。

 

師匠(鈴木 福太郎氏)は中学を中退後、15歳で叔父の経営する工房に入り、

高級ジュエリーの作りを独自の発想で開発し、昭和35年頃には業界で、

「指輪造りの神様」と言わしめた方です。

20歳の時には、普通の職人さんが1日一本仕上げる指輪を5本作るという、

驚愕のスピードの持ち主でした。まさに神業。

 

当然、佐々木の先輩達もそのDNAを受け継ぎ、そのスピードは目を見張るものでした。

 

修業時代の工房の中は、スピードの競い合いで戦場と化す位の熱気でした。

一日が終わるとへとへとに成り、正に切磋琢磨の環境でした。

私自身もそのDNAを受け継ぎ、甲府で独立し既に42年が過ぎています。

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